肥満の定義
肥満について
体の骨格から考えられる標準の量を超える脂肪が蓄積することをいいます。アメリカ国立衛生研究所によると、理想体重(BMI22)より20%以上増加していると健康が害されると報告されています。世界中で肥満者は増えていて、先進国においては医療問題の大きなウエイトを占めている問題です。日本でも食生活の欧米化により明らかに肥満者は増えています。
高度肥満症とは
高度肥満症の定義は、BMIが35以上とされています。重大な疾病で、重病として扱われるべきものであるといわれ、診断や治療の対象と位置づけられています。
BMIは体重(kg)÷(身長(m)の二乗)(=kg/㎡)で計算されます。
身長と体重を入力すると、あなたの肥満度がわかります。
高度肥満症の原因は?
肥満になる原因は複合的です。単に食べ過ぎの結果だけではありません。ある研究では高度肥満症の根本的原因は遺伝であると報告されています。
高度肥満症患者の平均寿命は明らかに短くなっています。体重が理想体重の2倍を超える高度肥満症患者の死亡率は非肥満者の2倍、糖尿病や心臓発作による死亡の危険率は5倍から7倍といわれています。米国では、肥満が原因で年間40万人以上が亡くなっています。
肥満のリスク
1)心臓への負担
肥満になり体が大きくなると、毛細血管もその分長く伸びます。すると心臓は、今までより遠くへ血液を送らなければならなくなり、心臓に負担がかかります。
また、脂質異常症(高脂血症)、動脈硬化の進行を加速させる危険性が高まります。
2)膝・腰への負担
歩くとき、膝には体重の2~3倍の荷重がかかります。肥満は、変形性膝関節症の原因となるなど、膝や腰への負担を大きくします。
3)睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群の原因の1つとして、首周りに脂肪がついて気道が狭くなっていることが挙げられます。
4)生活習慣病
高血糖、高血圧、高脂血症などさまざまな生活習慣病を引き起こした状態、「メタボリックシンドローム」の原因となります。
高度肥満症に対する治療オプション
一般的に、肥満症に対する治療として内科的治療(食事療法と運動療法を中心とする生活習慣改善プログラム)が行われますが、多くの患者さまでは十分な効果が得られず、また、減量が得られたとしても長期間維持することは難しいことが分かっています。このことは高度肥満者ではより当てはまります。無理なダイエットの結果、やせたり太ったりを繰り返すことを「ヨーヨーダイエット」と呼びますが、体重の極端な増減が深刻な健康状態の悪化を招くことが分かっています。抗肥満薬による薬物療法も存在しますが、副作用が強い、減量効果が弱い、服薬を中断するとリバウンドしやすいなどの問題があります。外科治療(手術)はこうした“内科的治療抵抗性(=内科的治療により十分な減量が得られない)”高度肥満症の患者さまに対して、長期効果が証明されている唯一の治療法です。手術である以上、合併症発生のリスクはありますが、高度肥満症のままでいる方がはるかにリスクが高いことが分かっています。