栄養管理について
術前の栄養管理
この手術は、長い間肥満による合併症などで悩まれてきた方々にとって効果的な治療ですが、手術にはリスクを伴います。特に高度肥満症の方々は正常体重の方に比べてリスクが高くなると言われています。リスクを少しでも軽減するため、当院では術前に必要な減量をしていただくよう減量・糖尿病外科センター専任の管理栄養士が個別に指導を行っています。極端なダイエット等は術前の体の栄養状態を悪くし、術後の回復力の低下を招いてしまいます。当院で指導する術前減量は低カロリーですが、栄養バランスに優れたフォーミュラ食品を用いて減量をしていただきます。(フォーミュラ食品:良質なタンパク質を主原料に糖質、脂質を控え、ビタミン、ミネラルをバランス良く含んだもの)
術後の栄養管理
手術をすれば簡単に減量できるわけではありません。手術後は様々な変化が身体の中で起こるため、患者さまご自身が栄養管理をしっかり実行し、正しい食生活を身につけることが大切です。術後の変化をしっかり理解し、健康的な身体と共に正しい食生活への一歩を踏み出しましょう。
術後の食生活のポイント
食べ方の工夫
胃の容量が縮小するため、食べ物の種類を初めのうちは制限します。流動食から徐々に固形物へ移行します。少量ずつ(スプーン1杯ずつ)ゆっくり飲む(食べる)習慣を身につける必要があります。
《術後の食事のスケジュールについて》
ステージⅠ(流動食):手術翌日からスタート
ステージⅡ(流動食+半固形食):手術後15日目からスタート
ステージⅢ(通常食):手術1ヶ月後からスタート
必要な栄養素の摂取
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水分摂取量は1日2000ccを目標にする
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タンパク質をしっかり摂取する
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ビタミン、ミネラルなどのサプリメントを摂取する
※当院では減量・糖尿病外科手術後に必要な微量栄養素を一度に取ることが出来るサプリメントを独自に開発しています。(税別3,000円/1ヶ月)
ダンピング症候群の予防
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食事時間は30分~40分かけて、ゆっくりよく噛んで食べる
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食後の高血糖を抑える為、砂糖含量の多いものは控える
この手術を受けると胃が小さくなるため、食べた物をためておく力が低下するばかりか、胃酸の分泌も少なくなり、消化する働きが低下してしまいます。そのため、胃の運動がうまく行かず、食べた物が消化されずに小腸に一度に流れてしまうと、ダンピング症候群を起こします。ダンピングとは、「物がどさっと流れる」、あるいは「投げ売り」という意味からきています。症状としては、冷や汗・動悸・めまい・全身倦怠感・顔面紅潮などがあります。